本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
歌姫
〜獅音side〜

俺は一ノ瀬 獅音(いちのせしおん)。
32歳。
『Elysium(エリジウム)』という割と有名なロックバンドのギタリストをしてる。

といっても世間的に有名なのはボーカルのZENくらいで、よっぽどのファンじゃない限り俺なんかは "横でギター弾いてるロン毛のにーちゃん" くらいの認識しかされてない。

日本のメディアには出てないし。

どれ。
今日もかわい子ちゃんを探しに行きますか。

「涼太ー。行くぞ」

俺は高校の同級生で悪友である涼太こと冨樫涼太(とがしりょうた)に電話する。

『オッケー』

ライブの時は髪を下ろしてるけど、普段はストレートの肩まである髪は後ろに適当に団子を作って結んでる。

そして待ち合わせをして夜の街へ繰り出した。

ショーウィンドウが並ぶ街並みに沿って歩いて細い路地へと入る。

昼間じゃ間違いなく目立って歩けない。
涼太も俺もデカいし。
言っちゃなんだがイケメンだから。

そして目的のClubへと向かい地下へと潜った。

中に入れば2、300人くらいの群衆。
ガラの悪そうな奴らがウヤウヤいる。

まさにアンダーグラウンドって感じだ。
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