本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
出た!

男性の声だ。

「あ、あの! 私、携帯の持ち主です。拾ってくださってありがとうございます」

『…ああ。どうするといい?』

ダルそ。
寝起きか?

これから仕事だしすぐには受け取りに行けないよなぁ…

「あの…少しこのまま預かっててもらってもよろしいでしょうか? 仕事、18時には終わるのでそれ以降だと取りに行けるので…」

『…わかった、職場どこ? 届けるよ』

「え!? いや、それは悪いですよ!」

『いいよ別に。んでどこ?』

相変わらず電話の向こうの男性は気だるそうに話す。

「い、一ノ瀬グループ本社です…」

本当にいいのだろか…

すると答えたのに返事がない。

「も、もしもし?」

『…了解。それじゃ裏口まで行く。黒のSUVな』

「あ、ありがとうございます。お手数おかけしますがよろしくお願いします」

そう言うと短い返事が聞こえたかと思えばツーツーと通話終了の音が聞こえてきた。
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