黒澤くんの一途な愛
1. 転校先はヤンキー高校!?
なっ、なんでこんなことに……。
「おい、見ろよ。女子がいるぞ」
「えっ、まじ!?」
4月上旬の、ある日の朝。
私・花村栞里は転校先の高校に登校して早々、なぜか男子に囲まれてしまった。
しかも私のことを取り囲んでいる男子たちはみんな、赤や青、ピンクといったカラフルな頭に、耳や鼻には沢山ピアスをしていて。柄の悪そうな風貌の人ばかり。
さっきから男子しか見当たらないんだけど、もしかしてここ男子校!? 私、来るところを間違えちゃった?
私は1週間ほど前にお父さんの仕事の都合で、この地に引っ越してきた。
土地勘のないこの辺りのことはよく分からず、とりあえず家から一番近い高校をと思って転校先に選んだのがここ、福羽学園だった。
しかしいざ登校してみると、ここは共学のはずなのに、生徒はなぜか不良っぽい男子ばかりで。女子はひとりも見当たらない。
そのうえ校舎はボロボロで、壁にはペンキの落書きがいくつもあり、窓ガラスも割れている。
もしかしてこの学校、やばいところなんじゃ……。
「ねぇ、君。もしかして転校生?」
「ひっ! はっ、はい」
そばにいた青髪の鼻ピアス男子に肩をポンと叩かれ、身体がぴくっと跳ねる。
「へー、どこから来たの?」
「えっと……」
背の高い強面の男子たち3〜4人に囲まれた私は、怖くて体が動かず声も出ない。
やだ。怖いよ……。不良に絡まれるなんて初めての経験で、あまりの恐怖に私が泣きそうになっていると。
「おい、お前ら……邪魔」
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