黒澤くんの一途な愛


銀髪の彼を見た途端、私はサッと血の気が引く。


「お前、昨日はよくもやってくれたなぁ」


鬼のような形相で、こちらに向かって来る銀髪ヤンキー。


やだ、殴られる!?


怖くて、思わず目を閉じたとき。私の前に、誰かが立つ気配がした。


──パァン!


銀髪ヤンキーが突き出した拳を黒澤くんの手のひらが受け止め、周囲に乾いた音が響く。


「おい、黒澤。邪魔すんなよ」

「こいつは、俺の女だ。彼女に手出しすることは許さない。殴るなら、俺を殴れ」

「何だと!? お前、まさか黒澤の女だったなんて……!」

「ち、違……私は黒澤くんの彼女じゃ……」


キーンコーン……


『彼女じゃない』と否定しようとした私の言葉は、学校のチャイムの音にかき消されてしまった。


「進藤。やるなら、いくらでも俺が相手になるが?」

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