黒澤くんの一途な愛
黒澤くんは銀髪ヤンキーの拳を受け止めている手にグッと力をこめると、一瞬で彼を床へと投げ飛ばした。
す、すごい。片手で!?
「いってぇ」
「おい、進藤。やんのかコラ!」
「璃久さんに刃向かうヤツは、オレたちが相手してやる」
投げ飛ばされ顔を歪める銀髪ヤンキーを、黒澤くんの仲間や周囲の男子たちが一斉に取り囲む。
「くそ……今日のところは勘弁してやるよ。けど、いくら黒澤の彼女だからって許さねぇからな」
銀髪ヤンキーは私を睨みつけると、逃げるようにこの場からいなくなった。
「ったく。進藤のヤツ、逃げ足だけは速いな」
進藤くんの背中を見つめながら、黒澤くんがため息をつく。
「く、黒澤くん。ありがとう、助けてくれて」
怖かったけど……黒澤くんのお陰で助かった。
「いや。予鈴鳴ったし、俺たちも教室行くぞ」
黒澤くんのあとに続いて、私も教室に向かった。