黒澤くんの一途な愛
教室を出て黒澤くんたちのあとに続いて廊下を歩いていると、何やら視線を感じる。
そちらに目をやると、廊下にいる男子たちが私を見てヒソヒソと話していた。
「おい。あれが黒澤の彼女だってよ」
「へー、あの子が……」
「転校してきたってことは、黒澤がわざわざ自分の学校に呼んだのか?」
……え?
聞こえてきたのは、耳を疑うような言葉。
「わ、私が黒澤くんの彼女ってどういうこと!?」
「あー……。今朝俺が、進藤からお前を守るために『こいつ、俺の女』って言ったから。お前が彼女だって、噂になってるのかもな」
ええ!?
「誤った情報だっていうのに。噂になるの早すぎだろ」
「そりゃあ、学園のトップに関することとなればあっという間に知れ渡るよ。どんまい璃久」
赤髪の人が、黒澤くんの肩をポンと叩く。
「まあ、進藤のこともあるし。ほとぼりが冷めるまでは、しばらくこのまま花村が俺の彼女ってことにしておくか」
えーー!? な、なんでそうなるの?!