黒澤くんの一途な愛
「花村、今日は俺の奢りだから。遠慮なく、好きなものを頼むといい」
私の隣に座る黒澤くんがカフェのメニュー表を開き、私に渡してくれる。
好きなもの……と言われても。
隣には、怖い顔で腕を組む黒澤くんがいて。
向かいの2席には、明るい茶髪と赤髪の人がそれぞれ座っている。
まさか、こんないかにも不良って感じの人たちと、お茶をすることになるなんて……。
「璃久さん! オレ、腹減ったからオムライスにします」
「僕は、ケーキセットにしようかな。ここのチーズケーキ、美味いんだよね」
えっ、二人とももう決めたの!?
「花村は決まった?」
「ええっと……」
黒澤くんに聞かれ、私は慌ててメニューのページをパラパラとめくる。
どうしよう。初めて来たお店だから、どれにしようか迷っちゃう。
でも、早く決めないと黒澤くんたち怒るかな?