黒澤くんの一途な愛
「花村は、コーヒーは好きか?」
内心焦る私に、黒澤くんが尋ねる。
「え? うん。好きだけど」
「ここは、コーヒーがすごく美味いんだ」
「へー。そうなんだ」
落ち着いた店内には、コーヒーの香りが漂っていて。
他のお客さんも、コーヒーを飲んでいる人が多く見られる。
「だったら私、ホットコーヒーにしようかな」
「了解。ここのコーヒーには、クッキーがとても合うから。一緒に頼むか。すいません!」
黒澤くんが手を挙げ、やって来た店員さんに4人分の注文を伝えてくれた。
しばらく待っていると、注文したものが運ばれてくる。
「わぁ、美味そう。いただきまーす!」
目の前に置かれた昔ながらのオムライスをさっそく口に運ぶのは、村崎斗真くん。
村崎くんは明るい茶髪をピンで止めているのがトレードマークで、可愛らしいイケメン。
「斗真は、ほんとにオムライスが好きだよね」
そんな村崎くんを隣でニコニコと見つめるのは、赤松迅くん。
昨日、私に向かって指さした黒澤くんを注意していた赤髪の人だ。