黒澤くんの一途な愛
廊下の後方から不機嫌そうな声が聞こえた、と思ったら。
その声に反応するかのように、私を囲んでいた男子たちがサッと廊下の壁際に逸れ、一瞬で道ができる。
男子たちがいなくなった私の視線の先には、黒髪の男子を筆頭とする不良の集団がいた。
うわ、先頭に立っている黒髪の人……かっこいい。
艶のある黒髪に、切れ長の瞳。スっと筋の通った高い鼻と、艶っぽい唇。
学ランのボタンは全開で、両耳にはピアスをしているけれど。
芸能人? それともモデルさん……?
そう疑ってしまいそうなほど整った顔をした彼は、ただそこに立っているだけでオーラがあって。
私の目は、自然と彼に釘付けになってしまう。
「……っ、お前……!」
私を視界に捉えた黒髪くんがハッとしたような顔で、目を見開く。