黒澤くんの一途な愛
「花村さん、一人で帰るのはよしたほうが良い」
「え?」
「もしかして、気づいてなかった? 君、帰るときからずっと進藤にあとをつけられてたんだぞ?」
「う、うそ!?」
赤松くんに言われて窓の外に目をやると、銀髪ヤンキー・進藤くんやその仲間が数人、カフェ付近をうろついているのが見えた。
「全然知らなかった」
「やっぱりね。そのことにいち早く気づいた璃久が、自分と一緒のほうがアイツらも簡単に手を出してこないと思って、ずっと君といたんだよ」
そうだったんだ。
「彼女の件だってそうだ。そもそも璃久は、進藤から君を守るために俺の女だって言ったんだよ」
「私のため……?」
「ああ。でないと花村さん、今頃は進藤にひどい目に遭わされていただろうな」
ひどい目って……。
進藤くんに殴られてボコボコにされた自分を想像し、ぷるぷると身震いする私。
「チッ。進藤のヤツ、まだいるのか」
電話を終えたのか、黒澤くんが席に戻ってきた。