黒澤くんの一途な愛
「あそこでずっと張りついてるなんて、あいつも暇だな。進藤は何事も一度根に持つと、しつこいから」
はぁっと、黒澤くんが大きくため息をつく。
「たぶん花村に仕返しするまで、あの男は諦めないと思う」
「そんな……」
私の目には、薄らと涙がにじむ。
「悪いな。祖母に関わったせいで、花村が目をつけられるようなことになって……」
私は、首を何度も横に振る。
「黒澤くんのおばあちゃんは、何も悪くない。悪いのは、おばあちゃんにぶつかって転倒させたうえに、治療費を出せって脅してた進藤くんなんだから」
「花村……サンキュ」
黒澤くんの大きな手が、私の頭の上にポンとのせられる。
「大丈夫だ。俺が花村の彼氏として、進藤には指一本触れさせないようにするから」
「そう言ってくれるのは有難いけど、黒澤くんが私の彼氏って……」
「なんだ? 俺が、お前の彼氏なのは嫌なのか?」
ムッとする黒澤くんに、私はコクリと頷く。
……って、しまった。そもそも黒澤くんは、私のために言ってくれてるのに。
つい本音のままに、頷いてしまった。
黒澤くん、気を悪くさせちゃったかな?
私がドキドキしながら、黒澤くんに目をやると。