黒澤くんの一途な愛
3. 初めての友達
翌日の朝。
「……はよ」
「えっ」
私が玄関を出ると、家の前に黒澤くんが立っていた。
「な、なんで黒澤くんがウチに!?」
「栞里と一緒に学校行こうと思って」
「ええ!?」
つい大声を出してしまった私に、黒澤くんが眉をひそめる。
「なに驚いてんだよ。昨日だってカフェのあと、塾まで送っただろ?」
「そ、そうだけど……」
そのときに、家の住所を聞かれて教えたけど。まさか、迎えに来てくれるなんて。
「あらあら。もしかしてお友達?」
私が玄関の前で突っ立っていると、家からお母さんが出てきた。
「転校したばかりで心配してたけど、もうさっそくお友達ができたのなら安心だわ。しかも、こんなイケメンさん」
「……どうも」
黒澤くんが私のお母さんに、ペコッと頭を下げる。
「クラスメイトの黒澤です」
「栞里の母です。娘のこと、これからよろしくお願いしますね」
「はい。栞里さんの彼氏として、精一杯努めさせてもらいます」
……え? か、彼氏!?
「それじゃあ、失礼します。栞里、行くぞ」
黒澤くんが戸惑う私の手をとり、歩き始める。
か、彼氏って……!
黒澤くんったら、わざわざお母さんの前で言わなくても……!