黒澤くんの一途な愛
すると次の瞬間、私の脇を車が勢いよく走り抜けていった。
「まったく、目が離せないな。危ねえから、お前はこっち歩け」
肩から手が離れ、黒澤くんが車道側に回った。
び、びっくりした……車が来てたんだ。
黒澤くんが触れた部分が熱くて、ドキドキと脈打つ音がうるさい。
何でもないように歩く黒澤くんの隣で、私も必死に平静を装って歩く。
黒澤くんは昨日から、私のことを守ってくれてばかりだな。
それなのに、私……。
「あ、ありがとう。黒澤くん」
「いや?」
「私、さっき嫌なこと言ったよね。ごめん」
「いいよ。気にすんな」
黒澤くんは、先ほどから前を見据えたまま。
「まあ、さっきみたいに急に走り出されたりしたら困るから。念のために、手繋いどくか」
黒澤くんに再び手をとられる。
繋いだ黒澤くんの大きな手は、最初に繋いだときよりも温かさが増していた。