黒澤くんの一途な愛


「な、なんで女子がここにいる?!」


そして、私のことを人差し指でビシッと指さしてきた。


「ちょっと、璃久(りく)。人のこと、指ささないの。ごめんね? 転校生ちゃん」


物腰柔らかな雰囲気の赤髪の男の子が、私に向けられた璃久という人の指を掴んでおろす。


「……転校生?」


赤髪さんの言葉に、眉をひそめる彼。


「うん。今日から女の子が転校してくるって、噂になってたよ。名前は確か……花村さんだっけ?」

「はっ、はい。花村栞里です」


赤髪さん、なんで私の名前を知ってるの? と思いながらも私は返事をする。


「花村栞里……」


璃久と呼ばれたイケメンの彼に、まるで品定めでもするかのようにじっと見られ、不覚にもドキドキする。

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