黒澤くんの一途な愛
「ねえ。あなたが噂の転校生?」
登校し教室に行くと、ひとりの女の子が声をかけてきた。
サラサラのロングヘアは艶があって、私と同じ白のセーラー服をオシャレに着こなしている、可愛い女の子。
「えっと……?」
まさかこの学校に女の子がいると思っていなかった私は、固まってしまう。
「あっ、ごめんなさい。わたし、市川蘭菜です。あなたと同じクラスなんだけど、ここ2日ほど風邪で学校を休んでたから」
「そうだったんだ。私は花村栞里です」
「栞里ちゃん! これからよろしくね」
可愛らしい笑顔を向けてくれる蘭菜ちゃんに、私も笑みを浮かべる。
良かった。女子はてっきり自分だけなのかと思っていたから。
蘭菜ちゃんがいてくれて一安心だよ。