黒澤くんの一途な愛


「く、黒澤……!?」


声の主は黒澤くんで、彼が登場した途端ケンカをしていた男子たちの顔が真っ青になる。


「廊下の真ん中で殴り合いなんかされたら、他の奴に迷惑だから。今すぐやめろ」

「で、でも……」

「先に仕掛けてきたのは、コイツで……」

「あ?」


鋭い眼光で睨む黒澤くんに、言い訳をしていた不良たちの肩が大きく跳ねる。


「無駄な喧嘩はよせって、いつも言ってるだろ? どうしても喧嘩を続けたいのなら、俺が相手になろうか?」


黒澤くんが言った途端、ケンカはピタリと止まった。


す、すごい。黒澤くんの一言で、あっという間に喧嘩が治まっちゃった。


「みんな、黒澤くんに病院送りにされたくないから」


蘭菜ちゃんが、私にコソッと耳打ちしてくる。


それから割った窓ガラスの破片を片づけるように黒澤くんに言われた不良たちは、素直に掃き掃除をしている。


あんな強面の不良たちを一瞬で黙らせるなんて、学園のトップってすごいんだなぁ。

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