黒澤くんの一途な愛
「黒澤くんがトップになってから、校内でのケンカの数も少しずつ減ってきててね。黒澤くんの力もあって、校内に統制ができつつあるのよ」
「そうなんだ」
「ていうか栞里ちゃん、黒澤くんとはいつから付き合ってるの!?」
「えっと……付き合ったといっても、まだ最近かな」
まさか、私が黒澤くんの彼女だってことが、蘭菜ちゃんの耳にも入っていたなんて。
「黒澤くんはイケメンだから他校の女子にも人気で、よく告白されてるんだけど。今まで、誰も相手にしたことがなかったんだよ?」
「へえ」
黒澤くんってモテるんだ。
廊下にいる黒澤くんに目をやると、壊れた窓ガラスの片づけをする不良たちのことを手伝ってあげていた。
言葉遣いが悪かったり、ちょっと強引なところもあるけど。あんなふうに片づけを手伝ってあげたりして。黒澤くんは優しいな。
「ふふ。栞里ちゃんったら、黒澤くんのことを見つめちゃって。好きだねぇ〜」
「ええっ。そ、そんなんじゃ……」
「ほっぺた赤くしちゃって、栞里ちゃん可愛いなぁ」
「そ、そういえば! 蘭菜ちゃんは、どうして福羽学園に入学したの?」
黒澤くんのことから話題を変えたくて、私は蘭菜ちゃんに気になっていたことを聞いてみる。
「私は福羽学園がヤンキー高校だって知らなくて来ちゃったけど、蘭菜ちゃんは地元ならそうじゃないでしょう?」
「ああ、うん。わたしがこの学校に入ったのは……」