黒澤くんの一途な愛
「それで、さっきの話の続きだけど。わたしが福羽学園に入ったのは、がっくんがここに進学するって言うから。彼と離れたくなくて、わたしも一緒に来たの」
「俺は、ヤンキーばかりで危ないからやめとけって蘭菜に言ったんだけどな」
「がっくんとは幼なじみで、生まれたときからずっと一緒だったから。高校で離れるとか、考えられなかったんだもん」
蘭菜ちゃんと青垣くん、幼なじみなんだ。
福羽学園に来たのは、青垣くんと離れたくなかったからって、めちゃくちゃ可愛い理由だなぁ。
仲睦まじい様子の二人を見て、自然と口角が上がる。
「でも、良かったな。俺らの学年で、女子はずっと蘭ちゃんひとりだけだったから。花村さんが転校して来てくれて」
「うん。高校生になってようやく女の子の友達ができて、わたしも嬉しい。栞里ちゃん、改めてこれからよろしくね」
「こちらこそ」
こちらに差し出された蘭菜ちゃんの手を取り、私はそっと握りしめる。
この日、私にとって黒澤くんとは別にもうひとり、心強い存在が増えたのだった。