黒澤くんの一途な愛
4. 甘いご褒美
「ねえ、花村さん。さっきの古典の授業のここが分かんないんだけど、教えてくれない?」
「へ?」
午前中の授業が全て終わり、ようやくお昼休みだと解放感に浸っていたとき。
ノートを手にした赤松くんに、声をかけられた。
「花村さんって確か、古典得意だよね? この間の実力テスト、学年でも上位だったし……あれ? もしかして違った?」
「いや、得意っていうか……まあ好きですけど」
「だったら教えてよ!」
ニコニコ顔の赤松くんとは反対に、突然のことに戸惑う私。
ていうか赤松くん、どうして私に?
「ちょ、迅くん。こんな女に、なに勉強教えてもらおうとしてるんですか!?」
赤松くんが私に声をかけたのが気に入らないのか、不服そうな様子の村崎くん。
「いいじゃん。それとも、花村さんの代わりに斗真が僕に古典教えてくれんの?」
「いや、オレは……無理っす」
「だろ? というわけで花村さん、お願い」
「わ、分かった」