黒澤くんの一途な愛


人にお願いされると、やっぱり断ることもできなくて。


了承すると、赤松くんが私の隣の席に着く。


こうして改めて近くで見ると、赤松くんも黒澤くんに負けず劣らずのイケメンだなぁ。


「花村さん、ここなんだけど……」

「えっと、この問いはね……」


今まで誰かに勉強を教えたことなんてなかったけど、自分なりに精一杯教えた。


そして、数十分後。


「花村さんの解説、分かりやすかったよ。ありがとう」

「どういたしまして」


お礼を言われると、やっぱり嬉しいな。


「良かったら、また今度教えてよ」

「うん。私で良ければ」


人に頼られるのは嬉しくて、私は繰り返し首を縦に振る。


「ありがとう、花村さん」


私にお礼を言って歩いていく赤松くんに続こうとした村崎くんが、ふと足を止めてこちらを振り返った。


ん? 何だろう?


「ベーッ!」

「!」


村崎くんは私に向かって舌を出すと、赤松くんを追って走っていった。


「……何あれ」


ほんと、何なんだろう。村崎くんに何かした覚えはないんだけど……。


やっぱり私は、彼に嫌われているのかもしれない。


村崎くんは黒澤くんの友達だから、仲良くなれたら良いなとは思うけど。


仲良くなれる……かな?

< 38 / 98 >

この作品をシェア

pagetop