黒澤くんの一途な愛
人にお願いされると、やっぱり断ることもできなくて。
了承すると、赤松くんが私の隣の席に着く。
こうして改めて近くで見ると、赤松くんも黒澤くんに負けず劣らずのイケメンだなぁ。
「花村さん、ここなんだけど……」
「えっと、この問いはね……」
今まで誰かに勉強を教えたことなんてなかったけど、自分なりに精一杯教えた。
そして、数十分後。
「花村さんの解説、分かりやすかったよ。ありがとう」
「どういたしまして」
お礼を言われると、やっぱり嬉しいな。
「良かったら、また今度教えてよ」
「うん。私で良ければ」
人に頼られるのは嬉しくて、私は繰り返し首を縦に振る。
「ありがとう、花村さん」
私にお礼を言って歩いていく赤松くんに続こうとした村崎くんが、ふと足を止めてこちらを振り返った。
ん? 何だろう?
「ベーッ!」
「!」
村崎くんは私に向かって舌を出すと、赤松くんを追って走っていった。
「……何あれ」
ほんと、何なんだろう。村崎くんに何かした覚えはないんだけど……。
やっぱり私は、彼に嫌われているのかもしれない。
村崎くんは黒澤くんの友達だから、仲良くなれたら良いなとは思うけど。
仲良くなれる……かな?