黒澤くんの一途な愛
数日後の放課後。
私は今、学校の中庭にいる。
先日のホームルームでの委員会決めの際に、私はくじ引きで美化委員になった。
美化委員は週に1回校内の清掃活動があるらしく、今日がその日だった。
今日は中庭の掃き掃除をすることになっているのだけど、10分、15分と経っても一向に他の生徒が来る気配はない。
「仕方ない。やるか」
私はせっせと、掃き掃除を始める。
ひとり黙々と掃いていると、小さなゴミの山ができてきた。
うん、いい調子。
その山を見て、嬉しくなっていたときだった。
──ビューーーッ!
「きゃっ!」
突然強い風が吹き、せっかく集めたゴミが全部吹き飛ばされてしまった。
その拍子に持っていたホウキを落としてしまい、自分の髪もぐしゃぐしゃになってしまう。
うわぁ、最悪。髪の毛ボサボサだ……。
私が慌てて髪を直していると。
「……はい」
先ほど落としたホウキを、誰かが拾って渡してくれた。