黒澤くんの一途な愛
「あ、ありがとうございます……って!」
予想外の人物の登場に、私は目を見開く。
だって、ホウキを拾ってくれたのは村崎くんだったから。
「なんだよ?」
固まる私を見て、村崎くんが眉をひそめる。
「まさかアンタ、ここでひとりで掃除やってたの?」
「う、うん。美化委員だから」
「ふーん。真面目なんだな」
「え?」
彼には嫌われているという自覚があるから、また嫌味でも言われるのかと思いきや、真面目だと言われて拍子抜けする。
「この学校の生徒は、授業にしろ委員会にしろサボる奴が多いから。珍しいな、アンタ」
すると、不機嫌そうな顔の村崎くんが私の目の前まで歩いて来た。
「……」
何も言わず、じっと無言で見つめられる。
「な、なに?」