黒澤くんの一途な愛
「今まで彼女とか作ったことのなかった璃久さんが、仮にでもアンタを彼女にして。アンタを進藤から守るためとはいえ、ずっとアンタのそばにいて……なんかムカついたんだよな」
ムカついたって。村崎くん、それってもしかして私にヤキモチを……?
それで、私にあんな態度をとっていたの?
「あっ。斗真、やっと見つけた〜!」
村崎くんと二人で掃き掃除していると、赤松くんと黒澤くんがやって来た。
「もう! 斗真、急にいなくなったから、どこ行ったのかと思って探しちゃったよ」
「お前、こんなところで何をやってる?」
「掃除です」
赤松くんと黒澤くんに、村崎くんが答える。
「掃除って……斗真、美化委員だったっけ?」
「いえ。廊下を歩いてたら、この女が……花村が、ひとりで掃除してるのが見えたんで」
「へー。それでわざわざ来て手伝ってあげるなんて、斗真も優しいとこあるじゃーん」
「ちょっ、迅くん! やめてくださいよ!」
赤松くんが照れる村崎くんの腕を、肘で軽くつついている。
そうだったんだ。村崎くん、そんな素振りは一度も見せてなかったから。
てっきり、たまたま通りかかったのだとばかり思っていた。
「村崎くん、ありがとう」
私は笑顔で、彼にお礼を言った。
「べ、別に。暇だったから」
相変わらずな村崎くんに、私は思わずクスリと笑った。