黒澤くんの一途な愛


私がさっそく、もらったお菓子を食べようとキャンディの包みを開けていると。


「あ、それ。昨日、璃久さんがコンビニで買ってた飴じゃないですか?」


私が食べようとしていたキャンディを見て、村崎くんが指さす。


えっ。黒澤くんはさっき、このお菓子は人からもらったって言ってたけど……。


「おい、斗真! お前、栞里の前で余計なこと言うなよ」


黒澤くんが、慌てた様子で村崎くんの頭を軽く叩く。


「もしかして黒澤くん、このお菓子……わざわざ買ってくれたの?」

「あっ、ああ。そうだよ。本当はもらったんじゃなくて、栞里にあげたら喜ぶかなと思って俺が買ったんだ」


そうだったんだ。


私は、胸の奥がじわりと温かくなるのを感じる。


「黒澤くん、ありがとう!」


黒澤くんにお礼を言って、もらったキャンディーを口に放り込むと、優しい甘さが口の中いっぱいに広がる。


「……美味しい」


黒澤くんがくれた、ほんのりと甘酸っぱい苺ミルクのキャンディーを舐めていると、1日の疲れも不思議と消えていくようだった。

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