黒澤くんの一途な愛
……え。
避ける間もなく、吹っ飛んできた進藤くんの身体が私に思いきり当たり、廊下に尻もちをついてしまった。
「痛っ」
尻もちをついた拍子に足首を捻ったのか、鋭い痛みが走る。
「いってえなぁ」
やられた進藤くんは、顎ピアスの男子に向かっていく。
ドカッ! バキッ!
人を殴るような音がすぐそばで聞こえて、思わずぎゅっと目をつむった。
こ、怖い……。
寒くもないのに、身体がぷるぷると震える。
早くここから逃げなきゃ。
また巻き込まれでもしたら、大変だし。
私は目を開け、急いで立ち上がろうとするが……。
「痛……ッ!」
足首に激痛が走り、その場から動けなくなってしまう。
どうしよう……いつもみたいに、うまく立てない。