黒澤くんの一途な愛
──ドカッ、バキッ!
すぐ近くでは、殴り合いのケンカが未だに続いている。
「……っう」
足の痛みと怖さで、目にじわりと涙が浮かんだそのとき……。
……え?
突然、ふわりと身体が浮き上がる感覚がした。
誰かが私を支え、立ち上がらせてくれたんだ。
「栞里!」
はっとして顔を上げると、黒澤くんの整った顔がすぐ目の前にあった。
「栞里、大丈夫か!?」
「う、うん。ちょっと足を挫いただけだから」
靴下が下がって露になった、私の赤く腫れた足首を見た黒澤くんの顔つきが、一瞬で険しくなる。
「あいつらにやられたのか……」
「え?」
黒澤くんがポツリと呟いたと思ったら。
「おい、てめえらっ!」
彼は、ケンカするふたりの間に割って入った。