黒澤くんの一途な愛
えええっ!?
それを目の当たりにした私は、唖然とする。
黒澤くん、ガタイのいい男子二人を同時に投げ飛ばすなんて……す、すごい力。
「痛えな。おい、黒澤! いきなり何すんだよ!?」
「お前ら、栞里に謝れ」
「はあ?! 元はと言えば、ボーッと歩いてたそいつが悪いんだろ?」
「なんだと!?」
黒澤くんは、廊下に横たわったままの進藤くんの上に馬乗りになって、胸倉を掴んだ。
「よく見てみろよ。栞里の足首、腫れて赤くなってるだろ! お前たちがくだらないケンカなんかしなけりゃ、栞里は痛い思いをせずに済んだんだよっ!」
黒澤くん、私のために進藤くんたちに言ってくれてるんだ……。
「俺は、栞里みたいな被害者を出さないためにも、学校での無駄なケンカはよせっていつも言ってるのに!」
「それは、黒澤が勝手に言ってるだけだろ」
「はあっ!?」
進藤くんの胸ぐらを掴む黒澤くんの手に、力がこもる。
そして、黒澤くんがいよいよ殴りかかろうとした瞬間、私はぎゅっと目を閉じた。
やっぱり、こんな間近で人を殴るのを見るのは怖い……!