黒澤くんの一途な愛


「栞里、怖かったよな? あんなところを見せてしまって、悪かった」

「ううん」


私は、ふるふると首を横に振る。


確かに怖かったし、暴力は良くないけど……黒澤くんは私のためを思って、進藤くんたちに立ち向かってくれたんだから。


「……ありがとう」


黒澤くんが守ってくれて、すごく嬉しかった。


「足首は? 痛くないか?」

「うん。腫れてはいるけど、そこまで痛くもないよ」


黒澤くんに余計な心配をかけたくなくて、私はなるべく笑顔で話す。


「ほら、普通に歩けるし……っ!」


歩こうとしたけど右足首に激痛が走り、バランスを崩してふらついてしまった。


そんな私を、黒澤くんが支えてくれる。


「やっぱり足、痛いんじゃねえか。無理すんな」

「む、無理してないよ」

「いや、してる。保健室行くぞ」

「わっ」


黒澤くんは半ば強引に、私をお姫様抱っこした。

< 51 / 113 >

この作品をシェア

pagetop