黒澤くんの一途な愛
6. 黒澤くんと探しもの
あのあと私は、保健室に戻ってきた先生に、腫れた右足首を処置してもらった。
軽い捻挫とのことで、数日安静にするようにと言われた。
そして、放課後。
黒澤くんと仮のカップルになって以降、登下校を共にしている私たち。
この日も、黒澤くんはいつものように私を家まで送ってくれた。
「ありがとう、黒澤くん」
「分かってると思うけど、今日は無理すんじゃねぇぞ? 家でゆっくりしとけよ?」
「うん。そうする」
黒澤くんにそう言って私は、スクールバッグの中を覗いた。
今日は両親が仕事でいないから、自分で家の鍵を開けないといけない。
「……あれ?」
スクールバッグに手を入れてごそごそと探してみるけれど、鍵は見当たらない。
そうだ! 家を出るとき、スクールバッグの内ポケットに入れようとしたけど、結局スカートのポケットに入れたんだった。
そのことを思い出し、今度は制服のスカートのポケットに手を入れてみるも鍵はない。
え、嘘でしょ……。
もしかして……鍵なくした?