黒澤くんの一途な愛


それから黒澤くんと手分けして教室や廊下、図書室など、今日私が学校で行ったところ全てを探すも、鍵はなかなか見つからない。


学校に戻る途中の通学路にも、鍵らしきものは見当たらなかった。


「なぁ、お前ら。今、時間大丈夫か? 家の鍵を探してるんだけど……」


黒澤くんは、まだ学校に残っていた生徒たちにも声をかけ、協力をあおいでくれた。


目星をつけていた、昼休みにケンカに巻き込まれた廊下にも鍵は落ちていなくて。


鍵探しは、思ったよりも難航した。


「あとは、ここだけか」


校内を隈なく探した私と黒澤くんは、最後に職員室にやって来た。


誰かが、鍵を拾って届けてくれていたら良いけど……。


「もし、ここにもなかったら……」


──ガラガラ。


不安な気持ちが増したとき、職員室の扉が開いた。


「あっ、先生。家の鍵を落としたんですけど、届いてませんか?」


黒澤くんが、ちょうど職員室から出てきた男性の先生に聞いてくれた。

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