黒澤くんの一途な愛

7. 思わぬ再会



数日後。


「ねぇ、黒澤くん」


学校の休み時間。私は、机に突っ伏していた黒澤くんに声をかけた。


「どうした?」

「黒澤くんに、この間のお礼をさせて欲しいんだけど……」

「お礼?」

「うん。捻挫した私を保健室に連れて行って、手当してくれたでしょ? あと、家の鍵を一緒に探してくれたお礼」


あの日、黒澤くんには色々とお世話になったから。

一度、ちゃんとお礼がしたいと思った。


「いいよ、そんなの」

「遠慮しないで? 私にできることなら、何でもするから」

「何でも……?」


黒澤くんの黒目がちの瞳が、真っ直ぐ私を見据える。


「それじゃあ……俺とデートして」

「デ、デート!?」


予想外な言葉に、素っ頓狂な声をあげてしまう。


「ああ。栞里、俺に何でもしてくれるんだろ?」


黒澤くんの唇の端が、くいっと上がる。


「そ、そうだけど……」


黒澤くんのこの顔、何か嫌な予感が。


「よし。じゃあ、決まりだな。今日の放課後、デートするってことで」

< 62 / 87 >

この作品をシェア

pagetop