黒澤くんの一途な愛


「いいよ。これは、俺の奢り」

「そう言ってくれるのは有難いけど。これじゃあ、お礼にならないよ」


そもそも今日は、この間のお礼をするためにここに来たのに。


「だったら……そのポテト、俺に食わせて?」


え!?


ま、まさか黒澤くんが、こんなことを言うなんて。


「もしかして黒澤くん、冗談で言ってる?」

「いや? 俺は本気だけど?」


え、冗談じゃなくて本気なの?


私は、目が点になる。


「なあ、腹減った。栞里、早く食わせて?」


『食わせて?』って言われても。


私、今まで誰かにあーんなんてしたことないのに……!

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