黒澤くんの一途な愛


私がしばらく硬直していると。


少しだけ頬を赤くした黒澤くんに、ほっぺをつんっとつつかれた。


「おい。何もそんな驚くことねえだろ?」

「ご、ごめん。ちょっと、意外だったから」

「そうか。やっぱり、らしくないことは言うもんじゃねえな」


私から、ふいっと顔をそらす黒澤くん。


もしかして、黒澤くんも勇気を出してくれたのかな?


奢ってもらうことに対して、私が遠慮しなくて済むように……?


「悪い。今のは忘れて」

「く、黒澤くん……!」


私は意を決してポテトを摘まみ、彼の口元に運んだ。


「え?」

「黒澤くん、口開けて? あーん!」


黒澤くんの口元で、ポテトを持つ手をプルプルさせながら待っていると。


黒澤くんが私の手から、ぱくりとポテトを食べてくれた。


「うん、美味い」


黒澤くんが、顔をほころばせる。


「ほんと?」

「ああ。すっげー美味いよ」


ポテトを美味しそうに食べる黒澤くんの笑顔に、不覚にもきゅんとしてしまう。


黒澤くんの笑った顔、可愛いなぁ。

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