黒澤くんの一途な愛
「ねぇ、もう少し食べる?」
「ああ」
もっと食べさせたくなった私は、恥ずかしさも忘れてもう一度ポテトを黒澤くんに差し出す。
「はい、あーん」
すると、ポテトにかぶりついた黒澤くんの口が、ポテトだけでなく私の指まで含んでしまった。
「……っ!」
柔く生温かい感触に、ぴくっと肩が跳ねる。
「黒澤くん、指!」
私は、慌てて指を引っ込めた。
「あっ、わりぃ。それにしても、ポテト美味いな」
黒澤くんは平然と言ってのけ、目を細めて自分の唇をペロッと舐めた。
先ほどの可愛さから一転して、妖艶さを醸し出したその姿に心臓が早鐘を打つ。
「……ん? どうした? 栞里。顔、真っ赤にさせて」
「えっ!」
「ふはっ。栞里の顔、ゆでダコみてぇ」
「ゆ、ゆでダコって! ひどいよ。元はと言えば、黒澤くんのせいなのに」
黒澤くんの口が、私の指に触れたから……!