黒澤くんの一途な愛


ファストフード店を出て、街を歩く私たち。


「栞里、どこか行きたいところとかある?」

「そうだなぁ。本屋さんに行きたいな」


数学の参考書が見たいと思っていた私のリクエストで、本屋さんに行くことに。


「それじゃあ俺、雑誌見てるから」

「分かった」


黒澤くんと店内で別れ、私は参考書のコーナーへと向かって歩く。


ここの本屋さんは初めて来たけど、広くて、ジャンルを問わずたくさんの本が置かれている。


えっと、塾の先生にオススメされた参考書は……あっ、あった!


参考書を見つけた私が、書棚へと手を伸ばしたそのとき。


別の方から、誰かの手がスッと伸びてきて……。


「!」


私たちは、1冊の参考書を同時に掴んだ。

< 68 / 119 >

この作品をシェア

pagetop