黒澤くんの一途な愛
ファストフード店を出て、街を歩く私たち。
「栞里、どこか行きたいところとかある?」
「そうだなぁ。本屋さんに行きたいな」
数学の参考書が見たいと思っていた私のリクエストで、本屋さんに行くことに。
「それじゃあ俺、雑誌見てるから」
「分かった」
黒澤くんと店内で別れ、私は参考書のコーナーへと向かって歩く。
ここの本屋さんは初めて来たけど、広くて、ジャンルを問わずたくさんの本が置かれている。
えっと、塾の先生にオススメされた参考書は……あっ、あった!
参考書を見つけた私が、書棚へと手を伸ばしたそのとき。
別の方から、誰かの手がスッと伸びてきて……。
「!」
私たちは、1冊の参考書を同時に掴んだ。