黒澤くんの一途な愛
「痛ってえな。ばあさんがぶつかったせいで、肩が外れちまったんだけど」
「す、すみません……」
いや、違う。先にぶつかったのは、あの銀髪男子のほうだった。そのせいで、おばあさんが尻もちをついたんだ。
それなのに、あんなふうにおばあさんに詰め寄るなんて……。
「すみませんって、口で謝って済むと思ってんのか!?」
「ほ、本当にごめんなさい……痛っ」
おばあさんは尻もちをついた拍子に足を捻ったのか、足首に手を当て顔を歪めている。
「痛いのは、こっちだっつーの。俺に悪いと思ってんのなら、早く治療費出せよ治療費!」
ひどい。おばあさんは、ちゃんと謝ったのに。そもそも、悪いのはそっちじゃないの。
それなのに、一方的にあんな脅しのようなことを言うなんて……許せない。
後方から見ていた私は、だんだんと怒りが沸いてきて。
気づいたら、銀髪ヤンキー目がけて突進していた。