黒澤くんの一途な愛
「ちょっと、あなた! さっきから聞いてたら、無茶苦茶なことばっかり言って!」
「あ?」
おばあさんに掴みかかろうとしていたヤンキーが、こちらを向いた。
「治療費を出すのは、おばあさんじゃなくてあなたのほうでしょう!?」
「はあ? なんだ、てめぇ」
ひいいっ。
鋭い目つきでヤンキーに睨みつけられた私は、あまりの怖さに震え上がる。
でも、ここで負けてちゃダメだ。ちゃんと言わなきゃ。
「あっ、あなたが先にぶつかったせいで、おばあさんが転倒して怪我したんじゃない。私、見てたんだから。おばあさんに、ちゃんと謝って!」
「なんだとお?」
逆鱗に触れたのか、顔を赤くさせた銀髪ヤンキーが足早にこちらに向かってくる。
とりあえず、おばあさんから私に矛先が向いたのは良いけど……。ど、どうしよう。
怒りでつい口調は強くなってしまったけど、頭の中は真っ白で。心臓は、さっきからずっとバクバクしている。
私の焦りとは反対に、銀髪ヤンキーは殴りかかる勢いでどんどんこちらに迫ってくる。
よし、こうなったら……!