黒澤くんの一途な愛
「……いでっ」
私はヤンキーの脛あたりに、ドカッと一発蹴りを入れた。
「くっ。こんの、アマァ……ッ!」
わわ、どうしよう。ヤンキーに、思わず蹴り入れちゃったよお。
「よくもやってくれたなぁ!」
「ひぃぃ。ご、ごめんなさい!」
ヤンキーの顔が先ほどとは比べ物にならないくらい真っ赤になり、いよいよもうダメかと思ったそのとき──。
「おまわりさん、こっちです!」
通行人の誰かが、警官を連れてこちらに走ってくるのが見えた。
「くそっ。覚えてろよ」
さすがにまずいと思ったのか、お決まりのセリフを残して銀髪ヤンキーは走っていった。
た、助かった……。そうだ、おばあさん!
「大丈夫ですか!?」
私はすぐさま、道端でまだ座り込んだままのおばあさんに駆け寄る。