海軍特異対策室
No.1 海軍特異対策課
1943年 帝都東京ー
2年前の1941年暮れ、日本海軍艦隊がアメリカ・ハワイ島真珠湾の奇襲に成功を機に開戦。
4月、僕辻村光太郎は海軍兵学校を卒業後、整備兵として新しく開設された神奈川にある厚木航空基地に配属されるそれから3ヶ月後となる7月に転属することとなったー。
「転属、ですか…」
上官で厚木基地の司令官でもある山中瀧太郎大佐に呼ばれた、手渡された紙には転属の文字と見慣れない部署。
「あぁ、お上直々の申し出だ」
【海軍特異対策課】
初めて聞く名前、しかもお上直々となると拒否権は無さそうだ。
「分かりました…、それでいつからですか?」
「明日だ、明日司令部に行ってくれ。迎えが来てくれるはずだ」
一体どこの部署なのだろうか…、海軍省、それとも軍令部、それかどちらでも無いのか。行ってみなければ分からない。
上官室を出ては兵舎に戻り急いで荷物整理を行う、急な転属故に基地の人たちに別れの挨拶もままならなかった。
翌日、関わった人たちにだけ挨拶を済ませ迎えの車が来るとそれに乗り込みその部署がある軍令部へと向かった。
「辻村さん、辻村さん着きましたよ」
「ん…、もう着いた?」
いつの間にか寝ていたんだろう、そっと運転手が肩を揺らして起こしてくれる。大きく背伸びをしてから車を降りて荷物を手に。
目の前にそびえ立つ軍令部に緊張感が一気に高まるのを感じる。
「迎えのものが来ますので少々お待ちください」
そう言って運転手は車に乗り込み戻って行ってしまった。
「…一体どんなところなんだよ」
そんなに重要な所なのかと緊張しながら玄関先で待って居ると一人の軍人がこちらにやってきた。
「辻村くん、だね?」
「はっ、辻村光太郎と申します!」
「まぁまぁ、そう硬くならないで。初めまして久我寿光です、よろしく」
久我寿光少尉、容姿端麗で優しそうな顔つきの好青年、誰もが振り向いてしまうくらい輝いている。
「無事来てくれてよかったよ、ありがとう」
「いえ、上からの命令ですので逆らえるはずがありません」
「真面目なんだね、とりあえず立ち話もなんだし…早速案内するよ」
少尉はそう言って優しそうな笑みを浮かべながら建物へと入っていく、自分はその後を追うように中へ。
「あの、特異対策課とはどのような場所なんでしょうか?」
「ちなみに君は怪異とか信じるかい?」
「怪異…ですか?いえ、体験したことがないのでなんとも…」
するとある1つの扉の前で止まった少尉は不敵な笑みを浮かべ
「信じるも信じないも君自身さ」
と扉を開けた。
「ようこそ辻村くん、海軍特異対策課通称"怪異室"へ」
2年前の1941年暮れ、日本海軍艦隊がアメリカ・ハワイ島真珠湾の奇襲に成功を機に開戦。
4月、僕辻村光太郎は海軍兵学校を卒業後、整備兵として新しく開設された神奈川にある厚木航空基地に配属されるそれから3ヶ月後となる7月に転属することとなったー。
「転属、ですか…」
上官で厚木基地の司令官でもある山中瀧太郎大佐に呼ばれた、手渡された紙には転属の文字と見慣れない部署。
「あぁ、お上直々の申し出だ」
【海軍特異対策課】
初めて聞く名前、しかもお上直々となると拒否権は無さそうだ。
「分かりました…、それでいつからですか?」
「明日だ、明日司令部に行ってくれ。迎えが来てくれるはずだ」
一体どこの部署なのだろうか…、海軍省、それとも軍令部、それかどちらでも無いのか。行ってみなければ分からない。
上官室を出ては兵舎に戻り急いで荷物整理を行う、急な転属故に基地の人たちに別れの挨拶もままならなかった。
翌日、関わった人たちにだけ挨拶を済ませ迎えの車が来るとそれに乗り込みその部署がある軍令部へと向かった。
「辻村さん、辻村さん着きましたよ」
「ん…、もう着いた?」
いつの間にか寝ていたんだろう、そっと運転手が肩を揺らして起こしてくれる。大きく背伸びをしてから車を降りて荷物を手に。
目の前にそびえ立つ軍令部に緊張感が一気に高まるのを感じる。
「迎えのものが来ますので少々お待ちください」
そう言って運転手は車に乗り込み戻って行ってしまった。
「…一体どんなところなんだよ」
そんなに重要な所なのかと緊張しながら玄関先で待って居ると一人の軍人がこちらにやってきた。
「辻村くん、だね?」
「はっ、辻村光太郎と申します!」
「まぁまぁ、そう硬くならないで。初めまして久我寿光です、よろしく」
久我寿光少尉、容姿端麗で優しそうな顔つきの好青年、誰もが振り向いてしまうくらい輝いている。
「無事来てくれてよかったよ、ありがとう」
「いえ、上からの命令ですので逆らえるはずがありません」
「真面目なんだね、とりあえず立ち話もなんだし…早速案内するよ」
少尉はそう言って優しそうな笑みを浮かべながら建物へと入っていく、自分はその後を追うように中へ。
「あの、特異対策課とはどのような場所なんでしょうか?」
「ちなみに君は怪異とか信じるかい?」
「怪異…ですか?いえ、体験したことがないのでなんとも…」
するとある1つの扉の前で止まった少尉は不敵な笑みを浮かべ
「信じるも信じないも君自身さ」
と扉を開けた。
「ようこそ辻村くん、海軍特異対策課通称"怪異室"へ」