初恋を君と 短編集
私は持ったスプーンをカチャンッと音を立てて落とした。目を見開いて彼女を見る。

「ごめん。ただの私の言いたい事なんだけど、私あんな奴と幸せになれないと思うから」

っ…駄目だ。私は祐馬くんが好きでー

「揺らいでるんじゃないのかな」

「藍こ「私知ってるよ。女子に囲まれてるあいつを見て悲しそうな顔してるの…」
遠くを見るような目で、私のことを話す。


「ごめん。でも、愛音が泣いてるところ、、他人事でうるさいって思うかも知んないけど……見たくないよ」

藍子はその後違う話をし始めた。

けど、愛子の言った事が心臓に矢みたいに
ずーっと突き刺さって痛かった。



♡♡♡



「はあ…」


私は軽く溜め息をついた。
藍子と別れたこの、誰もいない路地で
ただ、白い息が残る。

何か考えようとすると、胸が痛くなる。



「ーーーあ、」



精一杯頑張って声を出した。
けど、誰もいない。

悲しくても、今慰めてくれる人はいない。

電話すれば良い問題だけど、する気力なんて
さらさらおきない。
そう考えてるうちに、頬に冷えた涙がつぅーとつたう。

「もぅどうすればいいのかわがんないよー」



ボロボロ涙を流す
でも、いつも祐馬くんの事ばかり考えてる。

胸が高鳴るのも、悲しくなるのも、
笑顔になれるのも、祐馬くんがいてくれたから。

何を見返しても、無表情の君の顔が、笑った顔が、優しい顔が、私の気持ちを
揺れ動かす。

大好きだよ。すきですきで堪らないんだよ。

君がいてくれたおかげ。



だけど
君の優しさに甘えるのはもうやめる。


多分ずっと、、素敵な人がいてもきっと
君のことを好きでいるよ。だから、




「明日、告白するの最後だから……安心してね。もう、ストーカーしないよ。」




最後のことは少し嘘だったかもしれないけど、これで最後だから、
追いかけ続けた数年も、もう終わりだね。








「決めたんだね」


藍子が、朝の寒い屋上で話を聞いた後、
ポツリと言った。

「うん。だけど、多分これからも好きなんだよ。諦められないんだよ。」




藍子に昨日決めたことを話した。
だけど、心は……


「泣かないで……愛音。。」



ふふっ。藍子だって、目から涙出そうになってるよ。



「もー、藍子まで泣かないで?泣くのは、
失恋した時だけでいいのよ」


「だって、っう……あ、あたしぃが…


「うん。」

「愛音のためにやり遂げたことなんて一つも
ないんだもん……、せめて笑顔でいさせたい。」



「うん.」


「愛音っ…ごめん。」

「えへへ、ありがとうって言ってよ。」
「う、…ん。ありがと、う。」

私たちは赤くなった目を戻して屋上を出た。



♡♡♡




「愛音!!」「あ、大翔。」
大声で私の名前を呼ぶ。

「………」

呼んだくせに、黙る大翔。
「用ないなら行くけど」
「待って!」

そう言って私の手をガシッと掴む大翔。

なによ………
「愛音が、今どういう状況にあるかわかんねぇけどさ、、俺……」

「うん」「だけど、俺…」
「ゆっくりでいいから。ね?」

「応援してる。愛音ちゃんと素直なれよ」
まさか、こんなこと言われるなんてね

「ふふっ。ありがとう」
「ま、今の笑いはいらねぇけどな」

大翔も、藍子も、応援してくれてるんだ。

この気持ち絶対に伝えるんだ。

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