初恋を君と 短編集
愛音side


夢を…見た。


随分と昔の夢だった。


私の事を大好きでいてくれた病院のある男の子。

私は、昔愛という一個年上のはとこを庇って
足を骨折してしまった。

愛ちゃんがいなくなるのが嫌で、泣いていた時に、泣かないでって…震える手で涙を拭ってくれたんだ。
私はその子のことが大好きだった。


小6まで、結婚の約束を夢見ていたんだ。


でも、小2の頃のことだからという理由で諦めていた時だった。祐馬くんに会った。
やっと気づいたよ、ゆうまくん、



私2回も祐馬くんに恋したんだね、
でもきっと結婚なんて覚えてないよね。

そう思いながら、目を開けた。
涙ぐんだ祐馬くんの姿があった。

嬉しさで思わず泣いてしまった。

「愛音。起きて早々悪いんだけどさ。かっこ悪い話きいてくんない?」「祐馬くんはいつもかっこいいよ。昔から……ずっと…」

「、………思い出してくれたのか…」
そういう彼はどこか泣いているような気がした。


「俺さ、」
「愛音に会った時、好きになってくれたのは嬉しかったけど、俺のこと忘れて嫌いになったんだなって。」


「そんな……!、、、」


「あとさ、俺両親見てきた頃からさ、
愛されるとか、そういうのがわかんなくてさ。自信なかったんだ。愛音に向き合うのがさ……」


「………」


辛かったんだ。いつも、ポーカーフェイスで隠してたけど…
返事をくれなかったのも……


「めちゃくちゃダサいし……愛音の事を信じれない。って思ったんだ…だから逃げた。」

「っ……ごめんなさい。」


でも、向けられた笑顔は、こんなことを言って欲しいと言っている訳じゃないんだとわかった。

「なぁ、愛音。。こんな俺でいいのか?」
ふふっおかしなこと言うのね祐馬くんったら


「私だって、祐馬くんをずっと好きでいる
自信なんてないよ」「………」

悲しそうな表情をした。
けどね…私は……こう思うの。。
「誰だって、ずっとなんて……他の人は勿論
祐馬くんだってないでしょ?だからさ……」

「1人で抱え込まないで……一緒に支え合おうよ。……ね?」
私は溢れる涙を拭って言った。



「うんー……」


ーーー


「うん!異常なしよ!」
「ありがとうございます。麻美子先生。」

あれから1ヶ月ほど経った。
それと同時に、同じくらいに祐馬くんに会っていないんだ。落ち着くまでは来ない事にするって言われたんだ。


理由聞いたら、まぁ…とんでもなくてね……
来たら、多分愛音を大変な事にしちゃうからって言ったんだ。まぁ、色々想像しちゃってネ………。。


「愛音……!」

久しぶりの祐馬くんだぁ……ふふ。
あったかい。。

「祐馬、それが好きな人か?」「ああ。」
だ、誰っ…!ハグ見られちゃってる……


でも祐馬くんは一向に緩めない。
「婚約を断ったからにはちゃんと」


な、なんだろう。。てかいつのまにか婚約破棄っ!??

「その子のこと幸せにしてあげなさい。」
最後にふっと笑ってその男の人は、いなくなった。

「えっと……?」

頭が混乱しまくりだ。



「俺の父親。」「うぇえっ」


た、確かに容姿端麗で、似てたっ…!
「やっぱイケメン家族だ。……」.


「む。父さんの方がかっこいい?」「いえいえっ!祐馬くん一番ですっ!」



でも、私それより気になることあるんだけど
「ねぇ…祐馬くん?」「ん?」



「この1ヶ月何があったの?」


「えっとな……」


そう言って、話し始めてくれた。


***

ある日の午後。



「父さん!」
「なんだ」

すごく苛だった声。 
やっぱりか……

だって、わざわざ名家まで婚約を作って、
色々あの後あったんだろうな。。

でもさ…父さんほんとは違うんだろ、

「父さん。政略結婚だけど、母さんのこと好きって思ってるんだろ?母さんが父さんのことを好きなのかは知らないけどさ」



「………なぜそう思う」
「七海さん…。母さんの親友に、
頭下げに行ったって婚約者が来た日にあって聞いたんだよ」



「………そうか、けどそれと、お前に何が関係あるんだ。」
強く睨んで言葉を強調させるように言う。

「俺さ、父さんからなんとも思われてなくて
好きとか、自分の趣味とかよくわかんない時期があったんだ。」



「…………」
「だけど、それを救ってくれた人がいたんだ
それが………



俺の大事で愛してる人だ。」
リビングに沈黙がずっと続く。

「……父さんは、不器用な人間なのよ。」
………ーーーえ?母さん?

「ねぇ、祐馬。知ってたかしら?  
わたしより、祐馬の事よく知ってたのよ朔斗さんは…」「そうだったのか………」

「あのね、不器用だからわたしが朔斗さんの心の声勝手に読むわよ?」

母さんは、いっかい父さんの方を見て
こっちに振り向いた。

「結婚して幸せになってほしい。

自分に似て好きになることが苦手だと思ったから、せめて機会を…そう思ってだんだよ
ね?朔斗さん」

「………ふんっ」

鼻を鳴らして、新聞で顔を隠す。

「もー、朔斗さん照れないの。わたし朔斗さんのこと好きだから、ね?………祐馬。
わたし達みたいに……まぁ、今は通じ合ってるけど……」

なんかサラッと惚気?まぁいいや…。


「政略結婚じゃなくて、恋愛結婚……貴方にはしてほしいわ。まぁ…朔斗さんは、それを破ったから、あの時抗議したのよ」


「麻美子………。。色々言い過ぎだ。」

「悪気なんてないのよ。思いすぎたってだけなのよ。だから、今度そのさっきの子見せてね?」

「はい………」
そう言われたんだ。



「朔斗さん。なんか言ったら?」

それを聞いてから、
ばっと、立って自室に行こうとする父さん。
ガチャ。なんも言わないのか……

「幸せになれ」

それとだけ言われた俺は、愛してくれてたんだ。ただそう思った。

end後日の話**




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