初恋を君と 短編集
「みやこー!」
「あっ、で、どう?」

「うん……い、………え?」

「なんの話してんの?」
弥生くんだ。すぐにわかってしまうところが憎い。

肩に腕がかけられた。

なんで、こんな時に

「真奈に合コン誘ってて、」
美弥子は、弥生くんのことあんま好きじゃないらしい。

遊び人じゃなくて一途な人が好きなんだって。

「で、?真奈行くわけないよね。」

「え、」
「俺の彼女、だよね、」
「…………っ、」


こんな時だけ、
「……、いくもん。」

「……………は?」

弥生くんの低い声が響く。
美弥子が後ずさる。

「真奈!あとででいいから……」

「………っうん。」

と言っても、もう帰る時間に近いんだけど。


「……、ね、真奈。行かないで?」
「………っ」


「俺がいんじゃん。」

「…は、はい、」
「そ、いーこ。」


自分は女子と遊ぶくせに私は遊んじゃダメだって?
意味わかんないし、私が悪いみたいにされてんの違くない?


………今更なんだけどわたし断らなかったら、弥生くんの気ひけたかな……
今からでもやってみようかな…


「……、やっぱいくっ」


「は?なんで。」

「弥生くんには関係ないでしょっ」

わたしはそうやって言い逃げし、自分の席に行った。

「……今日水曜なのに、なんで…」


弥生くんがそんなことを言っているなんてつゆ知らず。




わたしは1人、目に少しずつ涙を溜めた。



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