初恋を君と 短編集
☆☆☆
「………、有栖?どうしたの。」

「ううん……なんでもないよ」

私は隠していたせいで挙動不審になってたみたい。上手く隠していたはずなのに。


私の事どーせ好きじゃないくせにっ…
なんでそういうところは気づいちゃうの…?

「で、さっきの話は?」

「ああ、」

言わなきゃ……けど喉がつっかえて……

「ゆっくりで……いいから。」


その言葉に思わず涙が出る。


なんで冷たいのに欲しい言葉を
急に言うのかな……?


好きすぎて……辛い…………


「有栖?なんで泣いて「あのね、私、
祐也くんと別れたいの…!」


言えた。少しの達成感。

「……は?」


今まで見たことの無い顔で……祐也くんのさっき握った手の力がどんどん抜けていく。


「……私より、素敵な人いるじゃん……
例えばさっきの……玲瑠さんとかっ……」


言いたくないのにスラスラ言葉が出てくる。

嫌だよ……私ずっと祐也くんの隣にいたいよ

今更だけどまだっ……

「俺が嫌になったの?どこが嫌になった?
全部全部教えて……直すから。」

……え。

見えたのは彼の怒りと悲しみの混ざったような顔で、



「だから、別れたいなんて言わないで……絶対、」

「だから私たちの関係はもう終わりで…

「いま、有栖がどうして別れようと思ったのか教えて…?」


ずっと見てきたけど1番知らない顔だ。


「だって……祐也くん。私には笑ってくれないのに、ほかの女の子には笑うじゃんっ…」

「ずっと私には無愛想じゃん……!」


思いっきり言ってしまったことに急に後悔がやってくる。

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