初恋を君と 短編集
ーーー

「うぅっ……どこに理科室あるのーー?」

半泣きになっていた中学生なったばかりの頃の話

「藍子は今日風邪で休んでるしっ……どうしよう……」

授業遅れちゃうし……もう……終わったぁ……

安房先生厳しいし、怖いよ……!もぅやだあっ………!!


「大丈夫?」「……っえ?」

だ、だれ?男の子?
その男の子は頭をぽりぽりとかいたら手を差し出した。


「えっと……理科室行きたいんでしょ…行こう。」

手を引かれて立った時。
君の顔を見た時、なぜか目を奪われて……あ、

私、恋したんだ。って思った。

なんで綺麗な顔で……なんでそんなに悲しくでも優しく笑うんだろう。
そう感じた。
その日は連れて行ってもらって、そこで終わった。

けど、次の日女の子に囲まれている君を廊下で見かけて……

まぁ、全員(女子)無視してたんだけど……それでそこにいた女の子に
話しかけて君を知った。


「あの人の名前なんて言うんですかっ?」「え?中等部のプリンス::柚子日 祐馬様よ?知らないの?」


柚子日くん……
どうしても好きになって欲しくて、
アピールしまくってたなぁ……、


無視されてすごい悲しかったけど、諦められないんだよね。
不意に見せる笑顔とか、意外と女の子に優しいとことか……

「えへへぇ……好きだなぁ……」

フニャッと笑いかけながらかれの隣の席に座って言った。

そして私たちは、人のいないこの時間帯の車両に乗っていたことに彼の隣の席座って気づいた。

普通はちょー混むんだけど………この時間帯
ほんとに人いないんだよね………


「………何回言うの?」

本の読んでいるところを指挟んで私の方を見た柚子日くん。

「わぁ……!私の方見てくれたねっ……!」
目が輝いて、そう言う私。
れ、レアだよぉっ……!!!

「え?こっち向いた瞬間喜ぶの?」

まるで……いや普通に意味がわからないと言っているような顔ですねぇ………。。

「ふふっ……単純だと思ってるでしょ?でも、実際そうなのっ。 だって、好きな人が私を見てくれるんだもんっ……!」

「へー」


別に分からなくったっていいんだよ柚子日くん。逆に言うと……この嬉しさを知ってるのは………私だけでいいんだ。
ふふふふふ。私は、目を戻して本を読み始めている柚子日くんを
見ずにニヤけていた。

< 3 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop