初恋を君と 短編集
「っ、ごめんなさい。」

橋本さん、ごめんなさい。
私なんかに気を使ってくれてありがとう。

そういう意味で微笑んだ。
そうすると、彼女は彼らに見られないよう渡そうとしてくれた…けど、

「………おい、、〜〜……」「っ……嫌です、ごめんなさいっ……」

さっきの男子が橋本さんに何か耳打ちして、
さっきより震えて走り、教室を出ていった。

「地味子は地味子らしくぼっちでいろよ。」

「……っ、」「へー、んー、じー、は?」
「はい。、はい。ごめんなさい。ごめんなさい。」

謝ることしか出来ない。

……あと……1年ちょっと……、

そう心の中で唱えて、泣くのを我慢した。
泣いたらきっと何か言われる。
私の好きなのは平穏、平和だから。

「那月くんきたよ……!!いこ、」
「え、那月!今日早いな。」

そう言いながら、私のそばを離れる。

っはぁ………やっと息がまともに吸えた。
教室に入ってきた1人の男子が周りの人達が
囲んでいく。


「那月くんっ、おはよー!」
「那月おはー。」

さっき私に暴言を吐いたりしてきた人達が、人格が変わったようにその男子に挨拶をしている。

多摩 那月 くん

私をからかったり、いじめたりしない
カースト上位クラス1人気者の男の子。

物事をはっきりと言う人で、私と正反対。

いつも人に囲まれていて、私には近寄り難い存在。まだ、中学生だって言うのにね、
そんな多摩くんのことが、羨ましくて、
尊敬していた。

「みんなおはよー。」
多摩くんがあくびをしながら言った。

「那月くん!今日一緒に帰ろー!」

「あー、ごめん今日先生と話すことあっから。」
「那月ー、ノート見せて!!ジュース奢るから!」

「じゃ、メロンソーダよろしく。」
「ありがとな!!那月!!」

次々と会話を返していく。
那月くんは、性格も顔もいいからモテモテ。
男子からも慕われている、とてもいい人。

私、……友達でもこんなふうに会話できない気がする……なぁ

いいなぁ……

って、私ったらこんな事考えてたら時間無くなっちゃう!!
ただでさえ朝時間少ないのに……バカ!私、

そう思って、目を多摩くん方から外そうとした時、、

バチッ……
え……、目が……あっ……た。

たまーに見ていたけど初めてだ…目合うの。

私のこと見てたって……こと?
目が合うだけでこんな考えちゃうなんて……
うぅ……、私人に慣れて無さすぎ………


意味なんてきっとないよね?

この考えが、浮かんでは消えてを繰り返しながら先生に頼まれたプリントの必要項目を書いていったら、いつの間にかチャイムが鳴った。

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