初恋を君と 短編集
ーーー


「はぁ………、」

1人の廊下で大きいため息1つ。

野球部かな?、大きな声が外から聞こえてくる。。

吹奏楽部の陽気な音楽が放課後を飾る。

いいなぁ………ちゃんとした中学生生活。
私のこの生活って他の人とは違うだろうから。

私も部活に行って、友達と遊びにいったりしたかったな……、中学生だもん。
前々からなっていたことが無くなるように願ってボーッとしていた時だった。

「やべー!!鬼先に怒られるーー!!」
後ろから走ってくる音と、急ぐような声。

私は後ろを向いてとっさに避けようとしたが
そんな事も失敗。

ドンッ……!

「いっ………きゃっ……、、」「わーごめん………って地味子じゃん、せーぜー頑張れよー」

謝罪も十分にされないまま、クスクスと笑って走り去った、クラスの男の子。

思いっきりぶつかられたせいで尻餅を着いてしまった。
いたた………、あっ……!プリントっ……!

床には無惨に雑用の大量なプリントが散らばってしまっていた。

わ……大変だ……これ。

「はぁ………」

とまた大きなため息をついて、散らばってるプリントを拾いあげようとして、下に俯いた時、
1人の手がプリントを拾ってくれていたのだ。
だ……れ?私を……手伝ってくれる人なんて

そう思って前を向いたら、
「…た、……まくん……?」
「なぁに、萩野。」

「え、………と、手伝ってくれて……ありがとう……」
どうして私を手伝ってることを聞くより最初に、お礼言わないと。

「ん、これ。」
あっちの方にあったプリントか……

「あ、ありがと……う。」

家族以外とちゃんと話すの……先生抜いたら
すごい……久しぶりだ……

「どういたしまして。」
ニコッと笑う多摩くんは、太陽みたいに明るくて輝いてて。

そんな笑顔は私はできるのかな?
きっと今してみてって言われたら出来ないだろう。
私はそんなに強くないもん。

ガラスのハートでは無いけど、窓ガラスみたいに日々にダメージが蓄積して私の心は壊れるんだと思う。

そんなのなさそうな彼に、私は
「羨ましい………」


そう言っていた。
あれ、多摩くん目見開いてる?
あ、

声が、……でてたんだ。

ずっと…………彼に思っていたことが。

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