*恋わずらい*
「美紗ばいば~いっ」


‘もうギブ…頑張ったアタシ’

自分のことをここまで聞かれるって疲れるかも。今日だけでどんだけ友達できたんやろ。でもこのクラスの子ノリええし早く馴染めるかも…。なんか嬉しい。

嬉しいのは素直な感情。
ほんとうは不安だった。

力が抜けて机に突っ伏した。

「めっちゃ疲れた…」

ガタッ

‘誰っ??’

と思い顔をあげる。教室に入ってきたのは男の子。170㎝くらいの身長で浅黒い肌が健康そうな人。
でもなんだろう―
初めて会った気がしない。

この気持ちなんですか??

目が会ったら離せなくなった。

どうなのこの状況。

―――――――――

とそこで、その子が教室の鍵を持ってるのに気づいた。

「ごめんすぐ出るわっ」

あたしは勢いよく立ち上がり鞄を肩にかける。その拍子に椅子を倒してしまった。

バーンっ

‘あたしあほ-っ’

男の子を見ると…
やっぱりっ!

笑っているのをばれないようにしているのかしきりに咳払いをしている。

なんかその仕草いいかも…なんて。

「はよせんと鍵閉めるで~」

―――――――えっ??

おたく今関西弁喋りました??

「俺も昔大阪におったんやで」

慌てて椅子を戻した手を止めて顔をあげた。ニカッと笑う男の子はやっぱり初めて会った気がしないくらい私を安心させた。関西弁だから余計に。

「そうなんやっ!偶然やなあっ!あたし美紗!香坂美紗っ!」

ここまで勢いに任せて言った。
ってか名前言わなくてもさっき言ったし。あたしあほ-っ。

< 5 / 6 >

この作品をシェア

pagetop