ただ、守りたかっただけなのに


「藤崎くん、君はこの学校のジンクスを知っているかい?」

と、響平が静かな空気を破るように、トンチンカンなことを言い出す。





だが、朔も朔で、全く聞く耳を持たない。

「他人行儀キモ…、クソ教師が」


彼は何かが気に食わなかったのか、舌打ちをしながら、微かにつぶやく。




普通だったら届かないはずの声も、この裏庭の静けさもあり、響平の地獄耳には届いていた。


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