ただ、守りたかっただけなのに

「文化祭終了の音が鳴る瞬間、裏庭で手を繋いでいた恋人は、永遠の愛で結ばれる…」

と、どこからか声が聞こえ、柚葵が現れる。

「ってやつですよね?」




いきなり現われた柚葵にたいして、まるで幽霊でも見たかのような顔を向ける響平。

「おま、おまえどこから…」


ガタガタと震える響平。



朔は特に驚いた様子はなく、

「相変わらず気配のないやつだな」

と、興味がなさそうである。




と、その言葉で我に帰ったのか、ニコリ、と顔に笑みを貼り付ける響平。



「今お前、“クソ教師”って聞こえたんだが」

響平は、さっきの朔の発言を掘り返して、愚痴を言う。



今更さら前の言葉を掘り返されても…、と言う思考に至ったのか、朔はとても面倒臭そうにため息つく。

「地獄耳…」



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