ただ、守りたかっただけなのに
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一方で、一ノ瀬家 (柚葵の家) では。
2面鏡張りの部屋。
1人の女性がポップな音楽をかけて踊っている。
普通の人が踊ったら、グダグダなダンスになってしまいそうなものを、とてもかっこよく踊っている。
彼女は一ノ瀬希愛。
柚葵の母親だ。
シュートカットに金髪の彼女は、とても端正な顔立ちをしている。
彼女は恋菜と同じく37歳だが、希愛はどちらかというと大人っぽい顔立ちだ。
希愛は一度踊ることをやめ、音楽を止める。
彼女は床に座り込んでペットボトルの水を飲み、長いため息をつく。